自己申告制度

「TPP、日EU協定は自己申告制度」。
このような話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この「自己申告制度」とは一体どのような制度なのか、そして、これまでと何が違うのでしょうか。

 

その1 日商が発給してくれない
これまでは、EPA/FTAの原産地証明書が必要な時、ほとんどの場合、日本商工会議所(日商)で原産品判定を受け、日商で原産地証明書の発給を受けているはずです。この方法は第三者証明制度と呼ばれるものです。

これに対して、自己証明制度を採用するTPPや日EU協定では、日商は原産品判定や原産地証明書の発給をしてくれません。
企業自身(輸出者、生産者、輸入者のいずれか)が原産地証明書(原産品申告書ということもあります)を作成することになります。

日商での審査時間が短縮できるし、手数料もかからなくなるからいいじゃないか、と思う方もいるでしょう。

一方、日商の審査がなくなることで不安を感じる方も多いでしょう。大企業であっても、社内でEPA/FTAを詳しく理解している人は、1~2人というケースも珍しくありません。本当に原産品と言えるのか、原産地証明書の書き方はこれで良いのか、社内で誰もチェックしてくれず、日商にも相談できないということになります。


その2 「同意通知」が使えない
日商の発給システムで、非常に重宝されているのが「同意通知」の機能です。

日商で原産地証明書を発給してもらうためには、輸出製品が原産品であることを日商に示さなければなりません。輸出者と生産者が異なるケースで、輸出者が原産品判定を取るためには、生産者から製品の生産情報(材料の一覧、材料や材料以外の価格情報など)をもらう必要があります。

しかし、生産者の立場からすれば、材料や価格の情報を他社に開示するのは嫌だ、という場合も多々あります。

そんな時に「同意通知」という機能が役立ちます。生産者が原産品判定を受け、その判定番号だけを輸出者に伝えれば良いのです。この「同意通知」のおかげで、生産者が輸出者に生産情報を開示したくない製品であっても、原産地証明書を取得することができるというわけです。

ところが、自己申告制度では日商が審査を行うわけではないため、この「同意通知」の機能も使えなくなります。

では、自己申告制度のものと、輸出者と生産者が異なり、生産者が輸出者に対して生産情報を開示したくないという場合には、どうすれば良いのでしょうか。

例えば、次のような方法が考えられます。

①生産者が原産地証明書を作成する
生産者の原産地証明書作成が認められている場合には、この方法が考えられます。
ただし、同意通知を行うのに比べて、原産地証明書を作成することの方が責任の重みを感じるでしょうから、生産者が原産地証明書の作成を引き受けるとは限りません。

②生産者から「原産品」であることの誓約をしてもらう
全ての協定で認められるとは限りませんが、TPPの条文を見ると、輸出者は「当該産品が原産品であることについての生産者が有する情報に対する合理的な信頼」に基づいて原産地証明書を作成することができるとなっています。
合理的な信頼・・・、抽象的で分かりにくい書きぶりですが、例えば、生産者による誓約書が考えられます。
「この製品は、TPPに基づく原産品です」と言った誓約文を書いてもらうのです。

誓約書であれば、生産者は輸出者に生産情報を開示せずに済むため、受け入れ易くなりますが、輸出者からすると、誓約書を信頼して原産地証明書を作成してしまって良いのか、悩ましいところでしょう。

その3 検認スタイル
自己申告制度であるからと言って、必ずしも検認の方法が変わるわけではありませんが、これまでのEPA/FTAと、TPPを比較した場合、検認のスタイルは次のように変わります。

検認には、書面により行われるもの、訪問により行われるものがありますが、書面検認の場合、これまでのEPA/FTAでは、輸入国税関から日本政府(経済産業省)に対して検認要請が来る、いわゆる間接検認と呼ばれるスタイルがほとんどです。経済産業省に検認要請が届くと、経済産業省は必要に応じて日商に情報を求め、日商は輸出者や生産者に情報を求めます。つまり、輸出者や生産者にとっての窓口は日商でした。

ところが、TPPの場合には、輸入国税関から輸出者や生産者に直接連絡が来るということになります。こちらは直接検認と呼ばれるスタイルです。日商が介在しないため、基本的に回答する際も、輸出者や生産者から輸入国税関に直接行います。
輸入国税関に提出する資料や回答内容が適切ではなかったとしても、日商から指摘を受けて修正する機会はありませんので、これまで以上に検認への回答は慎重に行う必要があります。


TSストラテジーでは、自己申告制度を安心してご利用いただくための社内体制整備をサポートしています。
費用・期間など、お気軽にお問い合わせください。